私達の行く先は天ではなかった。
第弐話 人首霊音の場合①
私は名を人首霊音(ひとかべれいね)という。ただ罪を背負って生きるだけの、惨めな人間だ。私は生まれつき、悪魔から与えられたとしか思えない能力を持っている。
私は誰よりも「好意」を感知することが出来るのだ。
犬や猫等の意志ある動物からの好意すらも感知することが可能なのだ。
そして、対象が人間限定にはなるが、相手からの好意が強ければ強いほどに相手の身体の自由を奪うことが出来る。
やろうと思えば、相手の身体を好き勝手動かすことすら出来てしまう。
現在はそのような能力を使わずに、人間であるよう努めて生きている。
普通の人間であれるよう、極力人との関わりを避けて生きている。
この力を封印して生きていくのだと、過ちを犯した幼きあの日にそう決めたのだから。
人首霊音の場合①
2020/05/01 up
2021/01/02 修正